「ユニバーサルデザイン」は健康な環境を生む!

「健康デザイン」を語るとき、ユニバーサルデザインは欠かせないキーワードです。それはユニバーサルデザインが多くの人に使いやすい製品や環境をデザインするという概念を持ち、健康医療の分野にも有用であると言えるからです。今回はユニバーサルデザインと「健康デザイン」との関係について解説します。

1.ユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインとは、1985年にアメリカ、ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス教授により提唱され「年齢や障害の有無、体格、性別、国籍などにとらわれない、全ての人が利用可能」という基本の考え方を持っています。これは健康デザインを行なっている私たちも大切にしなければならない考え方です。

 ユニバーサルデザインはよく「バリアフリー」と混同されがちですが、バリアフリーは「高齢者や障がい者など」を対象としているため、ある程度限られた範囲の考え方です。ユニバーサルデザインは全ての人を対象とした、本当の意味での「バリア」のないデザイン手法であると言えます。

2.ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインを提唱したロナルド・メイス教授は、「全ての人に使いやすいデザイン」という考え方を解りやすくするため、7つの原則を作りました。

  1.誰でも使える「公平性」

  2.柔軟に使える「自由性」

  3.使用方法が簡単「単純性」

  4.情報が伝わりやすい「わかりやすさ」

  5.間違いに対する寛大さ「安全性」

  6.効率的に使える「省体力」

  7.適度な広さを確保できる「スペース」

 この7原則の考え方を持ったデザインは健康分野に大きな影響を持ちます。ユニバーサルデザインが「全ての利用者」を対象とする意味では、集団全体の健康レベルの向上を目的とする公衆衛生学の考え方に類似し、デザインのチカラによって健康的な環境づくりが可能と言えるからです。

 先に記した7原則すべてを網羅しなければいけないわけではありません。それぞれの考え方どれか1つだけ特化したデザインでもユニバーサルデザインと言えます。

 例えば、私たちがよく目にするグラフィック分野では「UDフォント」(ユニバーサルデザインフォント )という書体が多く使われています。それは社会の高齢化による平均視力の低下と、製品の多機能化によるメッセージの増加に起因しています。つまり、平均視力が落ちているのに1枚の広告の中で伝えなければならない事柄が増えて文字が小さくなっていると必然的に無駄を廃した見やすい書体が求められます。また近年ではピクトグラムなどを多用したインフォグラフィックス(データや情報の視覚的表現)で感覚的に情報を読み解くことができます。

 WEBデザインの分野においても、紙の広告とは違ったユニバーサルデザインのアプローチが可能です。あるヨガスクールのサイトは画面をスクロールすることで漫画が展開し、少ない文字情報と視覚的な効果で「わかりやすく」「簡単」にヨガは健康と美容に有用であることを説明して会員募集につなげています。

また、とある製薬会社が展開する健康情報サイトでは、コンテンツを「わかりやすく」デザインするのはもちろん、症状別、体の部位別で情報ページに移動できるようになっています。さらに多くの人が閲覧できるよう、日本語以外の3ヶ国語に翻訳され、世界中の人に情報を発信できるようにしています。

3.ユニバーサルデザインは健康的な社会を作る!

前項でお話ししたように、ユニバーサルデザインと健康デザインは切っても切れない関係にあります。そして健康デザインはより良い生活空間を作る一端を担っています。

 東京都大田区ではユニバーサルデザインのまちづくりを推進していますが、その中にはフリーペーパーで、大田スタジアムに使用されているユニバーサルデザインの紹介や、障がい者・高齢者も参加可能なユニバーサルスポーツ大会の紹介をしています。また、「キラリ健康おおた」というパンフレットを発行し、著名人により親しみやすく簡単に実践でき、心と体の健康向上する方法などもわかりやすく解説しています。

 また「はねぴょん」というキャラクターを使用したスマートフォンアプリでは、ウォーキングや健康診断、健康的な食事をするとキャラクターの反応が変わったり、ポイントを貯めて景品がもらえるたりするなど、わかりやすく、自由に楽しく健康維持をサポートしています。

このように、ユニバーサルデザインで地域に住む人々の健康生活を守り、向上させる取り組みを行なっている自治体や企業は少なくありません。だからこそ現代のこういった取り組みの中でユニバーサルデザインと強固な関係がある健康デザインが大切なのです。
我々は、ユニバーサルデザインの7つの原則を踏まえることで、すべての人に伝わる健康デザインを目指していきます。

■まとめ
1.ユニバーサルデザインは全ての人を対象とする!

ユニバーサルデザインは、「年齢や障害の有無、体格、性別、国籍などにとらわれない、全ての人が利用可能」という考え方。健康デザインを行なっている私たちもこの考え方を大切にしています。

2. 健康分野にも通じるユニバーサルデザイン7つの原則!

「公平」「自由」「単純」「わかりやすさ」「安全」「省体力」「スペース」の7原則は、健康的な社会環境作りにとっても重要で、さまざまな広告物やデザインにも活かされています。

3.ユニバーサルデザインで作る健康的な社会!

さまざまな企業や自治体がユニバーサルデザインを使用するようになってきました。そこには利便性や利益だけではなく、多くの人の健康的な生活をサポートするという一面もあります。だからこそ、健康デザインにはユニバーサルデザインの考え方が必要となってくるのです。

一般社団法人 健康オピニオン会議