健康に関わるデザインには「根拠」が重要!

「健康」に関わる「デザイン」には大きな責任が伴います。それは人の身体と心に直接影響があるからです。そのため、健康に関わるデザインは美的センスや感性よりも「根拠」が重要になります。今回はデザインに必要な「根拠」について解説します。

1.デザイン?アート?

辞書によると、「アート」とは芸術、美術。主観的な美や思想を表現するためのもの。「デザイン」とは、実用面を考慮して造形作品を作ること、目的をもって具体的に立案・設計すること。相手に意味や機能がスムーズに伝わるような客観的な表現であると言えます。一見混同されがちなデザインとアートですが、実は明確な違いが定義されています。

 デザインとアートには大きな共通点があります。それは「考えていることや想いを何らかの方法で表現をする」ことです。しかし冒頭でも触れたように、その中身や役割は明確に違います。例えばアートは自己的・主観的表現であるため作品単体の表現で完結するものの、デザインは他者的・客観的表現であるため、依頼主の課題や要望と密接につながる表現となります。

2.アートは「問題提起」、デザインは「問題解決」。

アートとデザインは時代の流行や物事を映し出す世相の鏡であると言えます。

アートは、主に「このような問題があり、みんなで知ろう、考えよう」という問題提起です。それに対してデザインは主に「この問題に関しては、Aという方法をとりましょう」というような問題解決の提案です。

 例えば、とある医療機関では患者と芸術家が一緒になってアート作品を作ることで、病状の回復効果を期待するとともに、ホスピタリティ=人を思う気持ちを考え、患者のもつ「弱さ」や「苦しみ」を周知し理解してもらうきっかけとなっています。また災害の避難所で子供たちがアート創作に携わることなど、社会に問題提起をしています。

 一方、デザインは問題解決と言われています。ロンドンのとある病院では院内にデザインスタジオがあり、デザインの力でヘルスケア問題の解決を進めています。その一つが新しいカードゲームを作ること。カードにはさまざまなポーズの人物イラストがデザインされていて、それを使って楽しくゲームをすることで患者の運動不足を解消、肥満による生活習慣病の防止効果が期待されています。さらに医師や看護師のタスク管理をするスマートフォンアプリを開発することで、仕事の優先度が明確化し、患者への対応速度も約37%早くなったと言われています。

このようにデザインとアートに共通点はあるものの、それぞれが違った方向から社会に影響を与えています。我々は健康について、現状の問題点を発見し、その解決方法をデザインのチカラで表現することを目指しています。

3.根拠のあるデザインでヘルスケアに答えを

健康は人の身体と心に直接作用する以上、それに関わるデザインには大きな責任と根拠の必要性が伴います。
そこにはいくつかのポイントがあります。まずはデザインの役割を決めることです。

例えば
(A)メタボリックシンドロームという言葉を用いて運動不足を煽る。
(B)メタボを解消する簡単な運動方法を提案する。
(C)その両方。

このように見る人に何を伝え、どのような答えを導き出すかを定義します。

 次にターゲットを選定します。デザインは伝えたいターゲット層を絞り込むことでより伝える効果が上がります。高齢の男性なのか、若い女性なのか、既婚者か独身かターゲットにより全体の雰囲気や色、文字の大きさなど必要な要素を臨機応変に変更していきます。

 またさまざまな文献や過去の媒体を参考にすることで、主観に引っ張られることなく、事実をもとにイメージを構築することができます。それにより、健康問題解決に対しての答えやそれに至るまでのプロセスを分かりやすく、見やすいものにできます。

 以上のようにデザインに根拠を持たせるためにはポイントがあり、それによって、強くデザインを見る人へメッセージを伝えることができます。我々は、今後も皆様に満足いただける健康促進の「根拠」を積み重ねた健康デザインを目指していきます。

■まとめ
1.アートは主観的に、デザインは客観的に「考えや想い」を表現!

アートとデザインには「考えや想いを表現する」という共通点があり、どちらも社会に影響を与えることができます。ただし役割が異なっていて、アートは主観的表現であり、デザインは客観的表現です。

2.アートで問題提起を!デザインで問題解決を!

アートには主観的な想いを作品に込めて表現することで、主に問題提起をするという役割があります。一方、デザインには依頼主の課題や要望に対して、表現を通じて客観的に主に問題解決の役割を担っています。

3.根拠を持った健康デザインを!

健康デザインには、その責任の重さから問題に対する解決策、答えに至るプロセスを分かりやすく解説する必要があります。そのため、デザインの役割を決め、ターゲットを選定し、文献や過去の媒体を参考にするなどして問題解決への「答え」を出すための根拠を積み重ねるのです。

一般社団法人 健康オピニオン会議