医師と上手にコラボレーションしよう!

医師は、内科や外科など30以上の診療科目に分かれて、全国約32万人で日本の医療を支えています。その勤務場所もなじみ深い町のクリニック、地域の医療実践を主目的とする市中病院、診療はもちろん教育・研究の役割も担う大学病院などがあります。また、主な仕事内容も病院に雇用され臨床に従事する勤務医、臨床医であるとともに経営者でもある開業医に分かれています。さらに雇用形態も常勤、非常勤があります。今回は様々な医師のタイプを踏まえて医師とのコラボレーションを円滑に行うためのヒントについてご紹介します。

1.忙しい大病院勤務医とのコラボレーションを目指して!

 

①多忙を極める大病院の勤務医には、『時間の配慮』と『正確な情報発信体制への配慮』を

主な大病院である大学病院は、研究が主体で希少な症例を多く取り扱うのに対して、市中病院は一般的な症例を多数取り扱うため、臨床経験を多く積めるという特徴があります。そして大病院の勤務医は専門の様々な診療科目に分かれて勤務しているので、今回はまずその代表的な診療科目である外科関連と内科関連の勤務内容についてご紹介します。

外科関連の診療科では、手術がメイン業務となります。手術の内容次第で変化しますが、長い手術だと10時間以上行う事もあります。また、手術以外にも他の診療科目と同様に定期外来や各種検査、カンファレンスや診断書作成などもあります。さらに当直やオンコールなど昼間の勤務時間以外の対応もあり、大学病院であれば、研究も行わなければなりません。つまり大病院の外科医は、一般的には激務・多忙と言われています。

一方、内科関連の診療科では、主に薬物療法の治療効果を確認しながら治療をする事がほとんどです。入院患者の管理も行いますが、外来での治療・管理が主な業務になります。ただ専門領域しか診ない診療科目と比べると、内科はその線引きが曖昧なため、他の診療科で診きれない種々の症状を訴える患者に対応しなければならない状況があります。さらに大学病院では研究も行わなければなりません。つまり大病院の内科医は一般的に忙しいといえるでしょう。

こうした多忙を極める大病院の勤務医とのコラボレーションで大切なのは『時間への配慮』と『正確な情報発信体制への配慮』です。
そこで大病院の勤務医とのコラボレーションにおけるポイントや注意点についてご紹介します。

記事執筆、監修
しっかり時間を確保できれば、記事執筆や監修業務は、医師がすき間時間に一人で進められる業務なのでおすすめです。ただ、医師が、医学用語を多用した論文のような執筆や監修をすると、一般向けには難易度が高くなりすぎてしまうので、一般読者に読みやすい文章になるように編集業務が必要になる場合があります。また、依頼内容が不明瞭なものや納品後にクライアントによる急な修正依頼がある業務は、想像以上に医師の時間を奪うので、あまりおすすめできません。

メディア出演(印刷物、WEBメディア)
短文の場合、可能であれば医師にプロフィール写真の提供いただき、著書や資料を参考に想定コメントを事前に作成するのが時間が掛からずスムーズです。それが難しい場合は、医師にプロフィール写真を提供いただき、事前に質問項目を送付したうえで、短文であれば電話取材、長文や難易度の高い記事の場合は医師への直接取材という方法があります。どの方法にしても、取材後にしっかり医師本人に確認を取り、大病院勤務医として間違いのないしっかりした内容を取材することが、メディア出演を考える上で大切です。

メディア出演(テレビなど映像メディア)
やり方は主にスタジオ撮影、取材撮影の2つがあり、数か月前から時間調整をする必要があります。特にスタジオ撮影の場合は、病院から離れた場所で拘束するので緊急業務が入らない日程もしくは調整がつかない場合は、緊急対応をどうするか考えた上で日程と場所をおさえます。その上で、取材趣旨や質問項目を事前に送付し、極力時間が掛からない形で取材が終わることを心がけます。そして映像は、取材後も編集次第で誤った伝わり方をする場合があるので、編集後にしっかり医師本人が確認できるようにします。映像は訴求力が高いですから、大病院勤務医として間違いのないしっかりした情報発信ができているかを特に配慮することが、メディア出演を考える上で大切です。

②常勤医・非常勤医・スポット勤務について

大病院の勤務医は、勤務形態は、大きく分けると『常勤医』・『非常勤医』・『スポット勤務』に分かれます。常勤医とは、医療機関に正規雇用されて勤務している医師のことで、厚生労働省が定めた「32時間ルール」によって、一つの医療機関で週32時間以上勤務していることが条件であり、一般企業に例えると正社員のような雇用形態です。常勤医は前述のように多忙、激務をこなしている場合が多いと言えるでしょう。

続いて非常勤医とは、非正規雇用で医療機関に勤務する医師のこと。常勤医が一般企業の正社員に例えるとすると、非常勤医はアルバイトといったところでしょう。常勤医と異なり、限られた曜日・時間帯だけの勤務なので、女性医師の産後復帰や、育児で常勤の勤務が厳しい時などにぴったりの働き方で、時間の融通が効きやすいというのがメリットです。時間あたりの給与水準は、常勤医よりも高めなものの雇用が安定せず、社会保険や福利厚生が適用されないというリスクがあります。

最後にスポット勤務とは、一般企業で言うところの日雇いのようなものであり、決まった日時だけ急遽、勤務する業務に入るという雇用形態です。業務内容は一般外来が多いですが、他には当直や予防接種、健康診断などの基本的な業務を主に行います。スポット勤務だけで生計を立てるという人は少なく、メインとなる仕事の合間や休日に副業として勤務するのが主になります。

●非常勤医、スポット勤務医について
多忙を極める常勤医と比較すると非常勤医やスポット勤務医は時間に余裕があったり、良い副業を探している場合があります。医師との交渉の中で、自然な形で勤務形態を確認することで、非常勤医やスポット勤務医であれば、医師業務の緊急対応のリスクを軽減させて、安定した協業ができる可能性があります。

③就業規則や服務規程には要注意!

医師の副業は一般化しているものの、厚生労働省や各地方自治体が管轄する医療機関や公立病院・準公立病院での副業は原則禁止の場合が多いようです。医師との協業交渉の際には、医師が周囲の方がやっているから大丈夫と考えた場合でも、就業規則や服務規程の確認をするように伝えましょう。医師との協業を成立させること以上に医師の本業へのリスクを軽減させることを重視する方が、長期的に医師との信頼関係が高まります。大病院の勤務医との協業はハードルは高いものの、医師の地位や協業内容次第で「病院側との相談、届け出の上で可能になる場合がある」と考えたほうが良いようです。

2.医師であり、経営者でもある開業医とのコラボレーションを目指して!

 

①トップとして理想の医療を実現

開業医の一番のメリットは、自身の理想に沿った医療を実現できることではないでしょうか。医師として長年働いていると、医療に対して様々な理想やこだわりが生まれてくるもの。個人経営のクリニックを開業している場合は、医師も院長とアルバイト医師が最大でも2-3人程度という規模のため、勤務医ではかなえにくい自分の理想の医療を追求できるのが開業医の醍醐味だといえるでしょう。
また、比較的時間にゆとりを持てるのも開業医のメリットのひとつです。診療所では当直やオンコールなどの業務が発生しないため、土日や祝日を休診にすれば、旅行や趣味などの時間も確保できます。

②トップとして集客や金融機関対応など経営全般を担う!

開業医の大変なところは、診療だけでなく経営にも携わることです。開業医は医療行為をしながらも、経営者として、例えばスタッフの面談や給与の決定、金融機関との付き合い、患者数を増やすための施策の決定など、安定的な経営をする責任があります。もちろん患者さんを多く集めて、予定以上の売上を確保できれば問題ないですが、医療機関の多い激戦区では期待通りの患者数が集まらず、厳しい経営状態となるリスクもあります。つまりプロスポーツに例えるならば、プレイヤーとしての医師業務、クリニックを一つのチームとしてまとめる監督業務、クリニックがビジネスとして成り立たせるGM業務を一手に担っているのが開業医なのです。

③個人や病院のブランディングが収入に!

開業医は勤務医よりも平均年収が高く、患者さんが集まれば集まるほど収益がアップし、自身の収入につながります。開業医は自身の頑張りが収入に直結するだけに、努力による成果を実感しやすい環境にあるといえるでしょう。こうした個人の努力が収入に直結する開業医とのコラボレーションで大切なのは『個人やクリニックのブランディング』と『正確な情報発信体制への配慮』です。
そこで開業医とのコラボレーションにおけるポイントや注意点についてご紹介します。

記事執筆、監修
専門分野であれば記事執筆や監修業務は、医師にとっては見込み患者へ専門性をアピールや知名度向上のサポートに繋がり、読者にとっては信頼感が高まるのでおすすめです。ただ、医療メディアの信憑性が社会問題になったケースもあるので、執筆、監修するメディアの選定は注意する必要があります。また間違った情報発信を行うと、依頼者、医師双方にマイナス効果なので、執筆、監修はもちろん確認期間をしっかり取ることができる仕事を選ぶことをおすすめします。

メディア出演(印刷物、WEBメディア)
事前に著書や取材記事を読んだ上で、ご本人の専門性や考え方と出演ポイントが一致していることが大切です。
その上で短文の場合は、医師にプロフィール写真の提供していただいた上で、可能であれば著書や資料を参考に想定コメントを事前に作成したり、質問項目を送付した上で電話取材をするのがスムーズです。長文の場合には、事前に質問項目を送付したうえで、医師への撮影とともに直接取材が良いでしょう。直接取材の際には、単純に回答を求めるだけでなく、医師の考え方や経験など背景情報も引き出すことで、メディアや企業プロモーションに深みを出すと共に医師のブランディングへの寄与を目指します。どの方法にしても、取材後にしっかり医師本人に確認を取り、間違いのないしっかりした内容を取材することが、メディア出演を考える上で大切です。

メディア出演(テレビなど映像メディア)
事前に著書や取材記事を読んだ上で、ご本人の専門性や考え方と番組や映像イメージが一致していることが大切です。
やり方は主に取材撮影、スタジオ撮影の2つのやり方があります。
取材撮影の場合は、取材趣旨や構成案、質問項目を事前に送付し、回答の準備と共に治療シーンやデータなど映像に使えそうなものの準備も依頼します。医師の回答と補足する様々な情報を組み合わせることで、メディアや企業プロモーションに役立つだけでなく、医師のブランディングにも役立つ映像作品になることを目指します。
スタジオ撮影の場合は、知識や経験を踏まえた医師本人のトーク力が中心になるので、台本と共に事前に綿密な質問やアンケートなどを行い、どんなシーンでどんなことを話して欲しいかを明確にして話してもらうことで、取材撮影と同様に医師のブランディングにも役立つ映像作品になることを目指します。
映像は訴求力が高いですから、ブランディング効果とともに間違いのないしっかりした発言ができているかを特に配慮することも、医師のメディア出演を考える上で大切です。

■まとめ
1.大病院の勤務医には、『時間の配慮』と『正確な情報発信体制への配慮』を!

大病院の勤務医は、基本、多忙であると考えたほうが良いでしょう。ですからコラボレーションにおいて就業規則などを確認の上、必要に応じた相談や申請を行うことを配慮した上、段取り良い業務依頼や進行サポートが必須です。また、大病院の勤務医としての看板を汚さないように確認時間もしっかりスケジュールに入れることで正しい情報発信をするための配慮も不可欠です。

2.開業医には、『個人やクリニックのブランディング』と『正確な情報発信体制への配慮』を!

開業医は、個人の看板が収入にも直結します。ですからコレボレーションにおいて、医師やクリニックのブランディングに役立つ形で企業プロモーションやメディア出演を依頼することが大切です。また、メディアなどで医師として間違った発言をすることが、病院の評判を傷つけることにもなりかねないのでしっかり確認時間をとって、正しい情報発信をするための配慮も不可欠です。

3.医師の勤務形態にあった業務依頼を!

勤務医は、『常勤医』・『非常勤医』・『スポット勤務』に分かれ、その勤務環境も大きく異なります。ただ医師免許を取得して専門性のある知識を習得した方であることに変わりはありません。大病院の信頼性や最新の医学情報を重視する業務は、大病院の常勤医に依頼すべきかもしれませんし、時間のとりやすさや一般的な医療情報をわかりやすく伝えることを重視する業務は非常勤医やスポット勤務医に依頼すべきかもしれません。業務意図を踏まえて最適な医師への依頼を心がけましょう。

一般社団法人 健康オピニオン会議