健康オピニオンの強みと弱みを踏まえて、企画しよう!

プロモーションで健康訴求をする際に、必ずと言っていいほど健康オピニオン(医療、食、栄養、運動の専門家)が登場しています。健康オピニオンが出ていることで情報に対する信頼性を感じる人も多いと思います。プロモーションを見るだけの方は「なんとなく健康オピニオンがいた」で安心できるので十分だと思います。ただプロモーションを企画、制作、運営する方達はそういう訳にはいきません。そこで今回は、健康オピニオンの強みや弱みを理解した上で、最適な健康オピニオンを起用したプロモーション企画を考えるヒントについて解説します。

1.健康オピニオンを起用する上での強み

健康オピニオンは、その高い信頼力を背景に、その個性や職種などによって得意とする強みが異なってきます。そこで健康オピニオンの強みである『信頼力』、『伝達力』、『共感力』についてご説明します。

●信頼力…資格取得の努力・人の健康に役立ちたいという志!

健康オピニオンは、人の健康に役立ちたいという高い志を持って、勉強を続けている方たちです。医療系の国家資格であればおよそ3年から6年学び、さらに資格によっては実務経験を踏まえた上で、試験に合格する必要があります。また、医師、薬剤師、管理栄養士など資格により異なりますが、専門資格や上位資格があり、最新講座の受講や試験、面接などを受けるなどして『最新の専門分野のプロフェッショナル』であるために学び続けている方たちなのです。

そうしたプロフェッショナルが、実務で患者や顧客に相談を受けたり、サービスを提供することで、生活者が様々な課題解決や満足を実感することから、健康オピニオンの発言には一定の信頼があるのです。

●伝達力…専門書、論文をわかりやすく解説する翻訳家!

医療や栄養、スポーツなど広い意味での健康分野の進歩は著しいものです。数年前まで正しいと言われていたことが、最新研究で異なる見解が出ることもよくあることです。そうした最新の研究は、論文や専門書となり、一般の方が目にする機会はほとんどありません。一般の方はメディアを通じて、見解を目にする機会が出てくるのですが、それをわかりやすく伝えてくれるのが健康オピニオンです。特にメディアと連携して一般の方への健康情報発信に務めている健康オピニオンは、『一般の方への健康情報の翻訳家』という特徴があります。

●共感力…お客様の行動を促すアドバイザー!

健康オピニオンの中でも、企業勤務者より、開業者やフリーランスの方は、一般的に患者や顧客との接点が強く、そのコミュニケーション力が強みと言えるでしょう。顧客との交流を通じて課題やニーズを素早く把握し、その解決策を提案することで顧客の維持、拡大を図っています。つまり開業者やフリーランスの健康オピニオンは顧客ニーズを踏まえて最適な距離感で寄り添う『一般の方への健康アドバイザー』という特徴があります。

2.健康オピニオンを起用する上での弱み

健康オピニオンは、今まで学んだことを最適な形でアウトプットすることは強いですが、万能ではありません。端的にいうと、プロモーション企画には、健康オピニオンだけでは対応できない領域があり、その点を踏まえて補うことが必要です。そこで健康オピニオンには足りない弱点についてご説明します。

●商品、サービスのプロモーションのプロではない!

商品やサービスを「誰に」「どのようなセールスポイント」を訴求したいかは、健康オピニオンの得意とする部分ではありません。もちろん一消費者として意見を言うことは可能です。しかし、それはあくまで個人の見解であり、大多数に受け入れられる意見とは限りません。例えば、食品の場合だと、ターゲット世代に流行りの料理のアレンジメニュー開発や商品のセールスポイントである素材の見栄えを活かしたインスタ映えする盛り付けルールの開発など、商品の強みを踏まえてテーマを明確にした上で依頼しないと、プロモーションの視点で納得いく仕上がりは期待できないかもしれません。

●消費者トレンドのプロではない!

健康オピニオンは、自分の健康領域のプロであり、消費者トレンドのプロではありません。つまり、純粋な医療、ダイエット、料理などの提案やアドバイスは得意ですが、生活者の興味を引くような健康テーマのプロモーションを考えるプロではないのです。ですから、学ぶ意識のある人向けに健康啓蒙コンテンツや料理コンテンツの制作であれば健康オピニオン任せでもよいかもしれません。しかし生活者の興味を引く健康テーマのプロモーション企画の場合は、健康オピニオンだけでは、硬くなりすぎてしまい、正しくても人の目を引かないプロモーションになってしまうことでしょう。

●全ての健康領域のプロではない!

健康の領域はとても広く、どの専門家も全てに精通することは難しいです。医師のように、専門の診療科目を明示しているのは珍しく、薬剤師、管理栄養士、スポーツトレーナー、料理研究家など資格の有無を問わず、様々な肩書で業務を行っている方には得意分野や苦手分野、未経験分野があることが多いです。ですから健康オピニオンに相談、依頼する場合には、肩書や資格の有無だけで判断すると健康テーマのプロモーションに合わないことがあるので、確認が必要です。

■健康オピニオンを活用した最適なプロモーション企画に向けて
●強みを生かす① ~エビデンスベースの伝達力!~

エビデンスを調べて、執筆や監修業務を得意としている方には、調査をベースに表現する領域を中心に依頼するべきです。まず過去の実績を確認した上で、同様の業務を依頼して互いの信頼関係を構築しましょう。その上で健康オピニオンの経験のないエビデンス領域をベースにした執筆・監修業務や共同研究の相談をすることをおすすめします。

●強みを生かす② ~ヒアリングベースの共感力!~

セミナーや個別相談など直接顧客からヒアリングを行い、最適な解決策の提案やアドバイスを得意としている方には、コミュニケーションをベースにした課題解決業務を中心に依頼するべきです。まずは過去の実績を確認した上で、セミナー講師や個別相談などを依頼して互いの信頼関係を構築しましょう。その上でクライアントの商品やサービスの課題解決コンテンツの企画、制作や新規の需要創造型コンテンツの企画、制作の相談をすることをおすすめします。

●弱みを補完① ~健康オピニオンのチームで対応!~

前述したとおり、健康オピニオンはその得意としている領域が異なります。よって企画する際に、無理に一人に依頼することはおすすめしません。まずは過去の実績の確認やヒアリングを行い、得意分野を確認します。その上で、立案する企画に領域外の健康分野がある場合は、最適な健康オピニオンをチームで対応することも検討しましょう。例えば管理栄養士でも栄養啓蒙は得意だけど料理は苦手など健康オピニオンによってその対応領域は異なりますから、資格や肩書だけでなく企画意図などをしっかり説明して対応できる健康オピニオンをしっかり確認することが大切です。

●弱みを補完② ~オリジナル健康プランニング!~

前述したとおり、健康オピニオンは消費者トレンドや商品やサービスのプロではありません。ただ自分の専門の健康領域の知識やアイディアは豊富です。よって健康オピニオンの専門知識やアイディアを最大限に生かすために、消費者トレンドや商品やサービスに詳しいプランナーとの協業で健康オピニオンの弱みを補完することをおすすめします。両者のシナジー効果を生かすには、互いに商品やサービスの課題を共有したうえで、互いの能力の棚卸をしてみることです。

例えば、車の販促をするとします。その際にプランナーが『シニアの運転事故問題』に着目し、トレーナーがそれを踏まえて『高齢者の体操』による健康訴求を考えます。結果として『シニア運転×体操=ドライビング体操』という企画でシニアが健康的に運転できるカラダ作り提案ができます。このように健康オピニオンとプランナーの知恵を組み合わせることで様々な『オリジナル健康プランニング』が可能となります。

 

一般社団法人 健康オピニオン会議